1月の旅 貴州省
凱里郊外の苗族が暮らす小さなウードン村へ向かう。
真冬の田圃の閑散とした茶のトーンが深い。
雲が重たく垂れ込める。
宿の苗族のおかあさんについていき、食材確保。
ひとつめはドクダミの根。ふたつめは田圃に棲んでいる鯉。筒状竹網をバシャバシャ、極めてシンプル漁法。トライ空しく私達ではいっこうに穫れず、苗族のお兄さんが華麗に捕獲していく。
宿までの帰路、ぽつんぽつんとスケッチ。寒い。夕食前の家からの湯気。棚田。水草浮かぶ田圃。煉瓦壁。日没。
トマトの発酵スープに鱗もとらない鯉をいれて、川沿いで穫った野草をいれた鍋。まるで「円相」を感じてしまった味。天麻を漬けた酒をグイグイ。
雷山へ。登り窯場見学。形成中の壷を「トントントントン…」叩く音が響く。くわえ煙草で轆轤をひくおじさんの眼が熱っした鉄球のよう。鋭い。足下には数ヶ月分の吸い殻が山となったまま。壁が見事なコンポジション。絵具を広げさせてもらって描く。
ミントと青唐辛子と水トーチーの醤油和えにハマる。
朝から民族衣装市場。手がかじかみながら苗族のおばあちゃんたちを描く。似顔絵店のようになり皆でワハワハ大爆笑。横で黒豚の解体。ホカホカ湯気。流血がみるみる黒くなっていく。食堂でアヒルを捌く様子をのぞく。なんて美しい内臓のピンク。ひとつとして同じ色がない!ブローチにしてしまいたいくらいに美しい。
凱里郊外の施洞の曜日市場。混沌!後ろから手をグイッと引っ張られて一瞬ヒヤリ…昨日布市場で描いたおばあちゃんだった。何かを売りつけるでもなく、ただただ再会をよろこんでくれた。
ビエを食す!!これについてはまたどこかで…。
丹寨のろうけつ染め工房、牛油と蜜で造った鑞で道具を借りておばちゃんの横で少しやってみる。
山羊足鍋で唇がピタピタする。
澄んだ味の豆花麺。貴陽の街をプラプラ。川縁でスケッチブックをめくり即席展覧会。凧揚げ名人に遭遇。遠く浮かぶ凧に意識が乗っかる。
中国はとてつもなく広い。そして食が凄い。
空っぽで満タン。