布ヤスリの絵




制作時間のなかにも、こころがきゅっとあつくなるような愉しさはもちろんある。
積層してゆく絵具を、わたしは布ヤスリでガリガリ削ったり、シャカシャカ磨いたりして肌をつくってゆく。
粉塵まみれになったあとの片付けが、愉しみの時間のひとつ。
床に散らばった布ヤスリの切れ端を順々に裏返してゆくと、そこには絵が。
ときにびっくりするほど風景で、ときにリズムのようで生物のようで、たまらない。

いっこいっこコレクションするのも愉しいなと思いましたが、仕事してもらわなければならないので、次の日にまた同じ布ヤスリをがんがん使う。
昨日の景色はあっというまに消えて、またあたらしい絵が現れたり、現れなかったり。

いつも「これはとっておいて集めておこう」と思うのですが、やっぱり擦り切れるまで布ヤスリを使い切り、任務完了をしてもらうので結局何も残りません。

2016.11.17