パレット



色が踊るまま染みこんだようなパレットの上の景色は心底美しい。
自然でのびのびとした景色に嫉妬心がうまれ心が折れそうになる。
こんなふうに描けたらいいな、と。
でも、いや、ちょっと待てよ。嫉妬心で苦しくなったときに気づいたことがある。

パレットの上にあるのは意志であって、絵ではないのです。

絵に挑もうとする意志が絵具と混ざってパレットに放出されているから
その勢いが放つ気はけっこういいものだと思う。
でも絵ではない。

絵は、画面のうえで、手や心の運びの連なりが結実してゆくものだから、
パレットが魅せる景色といい勝負なんじゃないか。
だからパレットに負けるな。

常にパレットは5枚くらいあって、全部板をパレットに使っています。
そしてそのパレットはパレットにして終わらせず、
かならず使って、最後は絵にして作品にしている。
だからそんな絵は、意志を固めた土台の上にある、意志をもった絵になると思っている。

そうやってパレットを片手にもちながら自分を励ましている。

2016.11.07