静物画


感覚が上のほうへひゅいひゅい昇る感じ。
足と地面をつなぐ根っこが切られる感じ。
没入のしるしの浮遊感。
その感じは絵がうまくいっている時。

しかしながら。
ある89歳の画家さんからの言葉を日々反芻する。
感覚が上へ上へと昇るたびに少しこわい思いもするから、いつでもその言葉を引っぱり出せるようにしている。

若いうちは空想力で描き続けられるけれども。
空想力だけで描くとばーさんになったときに辛くなるときがくる。
絵を続けたいなら、目の前にあるものもしっかり描くんですよ。

その方は今年逝ってしまった。

空想のなかで浮遊する自分の一部(内臓)みたいなものを、たまに地面とか体内に引き戻すためには、わたしの場合、静物画がいい。
目の前にただ在るそれが描けるかどうか相当ヒリヒリする。

2016.07.27